腎臓の主要な役割は、老廃物の除去と血液の浄化であり、 これ以外にも、余剰水、ミネラルおよび化学物質の除去、 体内の水およびナトリウム、カリウム、カルシウム、リン そして重炭酸塩といったミネラルの調整といった重要な 役割を担っています。
慢性腎臓病(CKD)の患者では、体液と電解質の調節が乱 れている可能性があります。このことによって通常(量) の水分、食塩あるいはカリウムの摂取でさえ体液と電解質 バランスの深刻な障害を引き起こすことがあります。
機能障害のある腎臓への負担を軽減し、水・電解質異常を さけるために、慢性腎臓病の患者は医師と栄養士の指導に したがい食事内容を修正する必要があります。CKD 患者に 対しこれとはっきり決まった食事はありません。個々の患 者はそれぞれの臨床状態、腎障害のステージ、およびその 他の医学的問題にあわせてそれぞれが異なった食事のア ドバイスを受けることになります。食事に関するアドバイ スは、同じ患者であってさえもその時々に変更が必要とな ります。
CKD 患者における食事療法の目的は、
- 慢性腎臓病の進行を遅らせ、また透析導入を遅らせる こと
- 血中の過剰な尿素の毒性作用を軽減すること
- 最適栄養状態を保ち、除脂肪体重の減少を防ぐこと
- 水・電解質異常のリスクを減らすこと
- 心血管疾患のリスクを減らすこと
CKD 患者における食事療法の基本原則
- タンパク摂取量は、0.8 g/kg/日まで制限
- エネルギー補給のため十分な炭水化物を与える
- 適度の脂肪を与え、バターや油の摂取を減らす
- 浮腫がある場合には水分の摂取制限をする
- 食事におけるナトリウム、カリウム、リンの量を制限 する
- 適切な量のビタミン、微量元素を与えること。高繊維 食が推奨される
CKD 患者における食事療法の詳細
高カロリー摂取
日常活動および体温や成長そして適正体重を維持するに はカロリー摂取が必要です。カロリーは主に炭水化物、脂 肪によって供給されます。CKD 患者において通常必要なカ ロリー数は35-40 kcal/kg/日です。カロリー摂取量が不十 分であれば、カロリー供給のために蛋白質が用いられます。 この蛋白質の分解は、栄養不良や老廃物の増加といった有 害事象を引き起こす可能性があります。従って、CKD 患者 では、十分な量のカロリーを供給することが必要不可欠で す。必要カロリー量を計算するに当たっては、患者の現在 の体重に基づいてではなく、理想体重に基づいて計算する ことが重要です。特に、元々栄養不良が存在する患者や、 糖尿病に伴うCKDの患者では、おそらく現体重は理想体重 よりも減少あるいは増加してます。
炭水化物
炭水化物は、体の主要なカロリー源です。炭水化物は、小 麦、穀物、米、ジャガイモ、果物と野菜、砂糖、ハチミツ、 クッキー、ケーキ、お菓子や飲み物に含まれています。糖 尿病患者や肥満患者は炭水化物の量を制限する必要があ ります。炭水化物は、全粒小麦、玄米や大豆、小豆、ハト ムギのような雑穀などの食物繊維も含む穀物から摂取す るのがベストです。これらの穀物が炭水化物摂取量の大部 分を占めるべきであり、あるいはその他すべての単糖を含 む食品の摂取量は炭水化物摂取量の 20%を超えるべきで はありません。
脂質
脂質は、体にとって重要なカロリー源であり、炭水化物や 蛋白質よりも2倍以上のカロリーを有しています。オリー ブ油、ピーナッツ油、キャノーラ油、サフラワー油、ヒマ ワリ油、 魚、 ナッツなどの不飽和脂肪酸、 いわゆる “良い” 脂肪は、赤肉、鶏肉、全乳、バター、生クリーム、チーズ、 ココナッツ、 ベーコンなどの飽和脂肪酸、 いわゆる “悪い” 脂肪に比べて体に良いといわれています。飽和脂肪酸やコ レステロールは、心臓病や腎臓障害の原因となるため摂取 量を減らすべきでしょう。
不飽和脂肪酸の中での一価および多価不飽和脂肪酸の割 合に注意を払うことが重要でです。ω-6/ω-3 比が低いこ とは有益な効果を発揮する一方で、 ω-6多価不飽和脂肪酸 (PUFA)およびω-6/ω-3 比が過度に高いことは有害にな ります。単一のオイル使用よりもむしろ、植物油の混合物 のほうが目的を達成するでしょう。揚げ物、ポテトチップ ス、ドーナツ、商品として加工されたクッキーやケーキな どように、トランス脂肪酸を含むものは、有害な可能性が あり避けるべきです。
タンパク摂取制限
タンパク質は、身体組織の修復および維持に必須です。ま た、創傷の治癒を助け感染防御にも重要です。タンパク質 制限は、腎機能の低下速度を減少させるため、透析や腎移 植の必要性を遅らせます。しかし、過度のタンパク質制限 は回避せねばならなりません。食欲不振は、CKD 患者では よくみられます。食欲不振と同時に、厳格なタンパク質制 限を行ってしまうと、栄養不良、体重減少、エネルギーの 欠如、抵抗力の欠如を引き起こしてしまいます。つまり、 死のリスクを増大させるのです。
消費されるタンパク質の質を向上させることに重点を置 くべきでしょう。 生物学的価値の高いタンパク質 (0.4-0.6 g/kg)を含んだものを食べることに注意を払わなければな りません。そのような食品としては、卵、牛乳、大豆、豆 腐、納豆、サケ、鶏ムネ肉などがあります。
3. 水分摂取
なぜCKDの患者は水分摂取で予防措置を講じなければなら ないのでしょう?
過剰な水分を尿として排泄することで、腎臓は体内の水分 量を適切に維持する上での主要な役割を果たしています。 CKD 患者では、腎機能が悪化するにつれて通常尿量は減少 します。尿排泄が減ることで体に過度の水分が貯留し、結 果として顔や四肢の浮腫、高血圧を引き起こします。肺の
液体貯留は息切れの原因となります。これが制御できなく なると生命を脅かされてしまいます。
体内の水分過剰の兆候は?
体内の過剰な水は、体液過剰と呼ばれています。腫脹、腹 水(腹腔内の体液貯留)、息切れ、および短期間での体重 増加は、体液過剰を示す兆候です。
CKD 患者は、水分摂取をコントロールするために、どのよ うな予防策を取るべきでしょうか?
体液過剰または欠乏を回避するために、医師が推奨するよ うな水分量を摂取すべきでしょう。体内水分量はそれぞれ のCKD患者により異なり、それぞれの尿量や体液の状態に 基づいて算出されています。
CKD 患者に対して推奨される水分摂取量はどれくらいでし ょうか?
- 浮腫がなく十分な尿排泄がある患者では、無制限の水 分摂取が認められています。しかし、CKD患者では腎臓 を保護するために水分を大量に取るべきだ、というの は誤っている。
- 浮腫があり尿排泄が減少している患者は、水分摂取を 制限するように指示されている。浮腫を減らすために、24 時間での水分摂取量が一日の尿量未満でなければな らない。
§ 体液過剰または欠乏を避けるために、前日の尿量+ 500ml=摂取可能な水分量、と通常設定する。水分の追 加 500ml は、およそ発汗や呼吸による水分損失を補う 量である。
なぜCKD患者は毎日自分の体重を記録しなければならない のでしょうか?
体液量をモニターし、いち早く体液の増減を発見するため に、患者は日々の自分の体重を計測し記録する必要があり ます。水分摂取量の指示が厳密に守られている場合は、体 重は一定のままで維持することができます。突然の体重増 加は、水分摂取の増加による体液過剰を示しています。体 重増加は患者に対してさらに注意深い水分制限の必要性 を示唆します。体重の減少は通常、水分制限と利尿薬に対 する反応の複合効果として起こります。
水分摂取を減らすコツ
水分摂取制限は難しいことですが、以下の点が役立つでし ょう
- 毎日決まった時間に体重を測り、それによって水分摂 取量を調整しましょう。
- 医師から 1 日の水分摂取の上限量の指導を受けましょ う。それに応じて、毎日適切に計算し、計量したうえ で水分を取りましょう。単に水だけではなく、お茶、 コーヒー、牛乳、チーズ、バターミルク、ジュース、 アイスクリーム、スープ、カレー等も水分摂取に含ま れることを忘れてはいけません。食物に含まれる目に 見えない水分量も計算しなければなりません。スイカ、 ぶどう、レタス、トマト、セロリ、肉汁、ゼラチン、 アイスキャンディーのような氷菓子等は水分を多く含 むので注意が必要です。
- 塩気の多いもの、辛いもの、揚げものを食べると、口 渇感が増して過剰な水分摂取を招くのでなるべく避け ましょう。
- 本当にのどが渇いた時だけ水を飲みましょう。周りの 人が飲んでいるから飲んだり、習慣的な飲水をやめま しょう。
- のどが渇くときは少量の水分を摂るか、氷を試してみ るのもよいでしょう。小さい氷を口に含んでなめまし ょう。氷は液体の水よりも口の中にとどまる時間が長 いため、同じ量の水よりも高い満足感が得られます。 ただし、氷も水分摂取量に含めることを忘れてはなりません。計算を簡単にするために、氷のトレイに割り 当てられた量の水を入れて凍らせましょう。
- 口渇感を減らすために、うがいをして水を飲み込まな いという方法もあります。ガムを噛んだり、飴やレモ ン・ミントをなめたり、口腔内を潤すための洗口液の 使用も口渇感を減らすのに有用です。
- 水分摂取を減らすために、小さいコップやグラスを使 いましょう。
- 薬の服用のために余計な水分をとられたくないときは、 食後に薬を飲みましょう。
- 作業に没頭するのがよいでしょう。暇な時ほど頻繁に 水を飲みたくなります。
- 糖尿病患者においては高血糖状態では口渇感が増しま す。口渇感を減らすためには厳格な血糖コントロール が欠かせません。
- 暑い環境は口渇感を助長するため、涼しく快適な環境 で生活することが望まれます。
どのようにしたら、1 日に決められた量の水分を正確に測 定して摂取できるでしょうか?
- 医師が決めた 1 日の水分摂取量と全く同じ量の水で容 器を満たしてみましょう。
- 1 日にそれ以上の水分をとることは決して許されない
ということを、頭に叩きこまなければなりません。
- ある量の水を飲むとき、容器から同量の水を出して、
捨てるのです。
- 容器から水がなくなった時、 1日の水分摂取の上限に達
してそれ以上の飲水はできなくなったということにな
ります。余計な水分摂取を避けるために、1日の水分摂
取量を1日を通して均等に配分するようにします。
- この水分摂取コントロール法を毎日くり返しましょう。
- 単純ではありますが、とても効果的なこの手法を用い
ることで、決められた 1 日の水分摂取量をしっかり確
保しつつ、水分制限もすることができます。
4. 塩分(ナトリウム)制限
どうしてCKD患者はナトリウム制限食としなければならな
いのでしょうか?
食事におけるナトリウム摂取は、体にとって血管内容量を
確保し、血圧をコントロールするために重要です。腎臓は
体内のナトリウムを調整するのに大切な役割を担ってい
ます。しかしCKD患者においては、腎臓は過剰なナトリウ
ムと水を体から排泄することができないため、ナトリウム
と水が体内に貯留してしまいます。
体内にナトリウムが貯留すると、口渇感の増加、むくみの
出現、息切れ、血圧の上昇などにつながります。これらの
問題が起きないようにするために、CKD 患者は食事におけ
るナトリウム摂取を制限しなければならないのです。
ナトリウムと食塩はどう違うのでしょう?
ナトリウムと食塩はふつう同じ意味で使われます。一般的
な食塩は塩化ナトリウムとして 40%のナトリウムを含みま
す。私たちの食事において最も一般的なナトリウム摂取源
となるのは食塩ですが、食塩以外にも以下のようなナトリ
ウム摂取源となるものがあります。
- アルギン酸ナトリウム:アイスクリームやチョコレー
トミルクに使用されています
- 重炭酸ナトリウム : ベーキングパウダーやソーダに使用
されています。
- 安息香酸ナトリウム : ソースの防腐剤に使用されていま
す。
- クエン酸ナトリウム:ゼラチンやデザート、飲料の風
味を高めるために使用されています。
- 硝酸ナトリウム:加工肉の防腐剤・着色剤として使用さ
れています。
- サッカライドナトリウム : 人工甘味料として使用されて
います。
- 亜硫酸ナトリウム : ドライフルーツの退色防止剤として
使用されています。
上に挙げたものはナトリウムを含みますが、塩辛い味はし
ません。ナトリウムはこれらの配合物の中に隠れて潜んで
いるのです。
どのくらいのナトリウムを摂取すべきなのでしょうか?
日本の人々の1日の塩分摂取量の平均は約11g/日です。 CKD
患者は医師の提言にもとづいて塩分摂取するべきです。浮
腫や高血圧をきたしている CKD 患者については約 6g/日の
塩分制限となることが多いようです。
どのような食べ物にナトリウムが多く含まれるのでしょ
うか
ナトリウムを多く含む食物
- 食塩 (精製された一般的な塩)、 ベイキングパウダー。
- 梅干し、塩辛、ザーサイ
- ビスケットやケーキ、ビザやパンのような焼いた食品。
- 重曹またはベイキングパウダー
を含む食品。
- ウエハース、 チップス、 ポップコーン、 塩味の落花生、
塩で味付けされたカシューナッツ、ドライフルーツ、
ピスタチオ、缶詰など。
- 既製品の塩入りのバターやチーズ。
- 麺やスパゲッティー、マカロニ、コーンフレークなど
のインスタント食品。
- キャベツやカリフラワー、ほうれん草、大根、などの
ような野菜。
- 醤油、味噌、ソース。
- 重炭酸ナトリウム錠、制酸剤、下剤のような薬剤。
1
- 食肉や鶏肉のような食品と動物のモツ。
1
- カニ、ロブスター、カキ、エビのような海鮮と秋刀魚
や干物
食べ物から摂取するナトリウムを減らすコツ
- 塩分摂取量を制限し、食事中の余分な塩分や重曹を避
ける。塩抜きで食べ物を調理し、別に許容量の塩を加
える。これは塩分摂取量を減らし、毎日の食事の中で
規定量の塩分摂取を確保する最良の方法です。
- ナトリウムを多く含む食べ物(上記)を避ける。
- 食卓に塩や塩味のある調味料を出さない、または食卓
に塩を置かない。寿司、刺身、漬物などの食べ物に塩
醤油を加えない。
- 市販されている食品のラベルを注意深く読む。塩分だ
けでなく、ナトリウムを含む他の化合物についても見
る。 ラベルを注意深くチェックし、 “ナトリウムなし”
や“低ナトリウム”の食品を選ぶ。
- 内服薬のナトリウム含有量に注意する。
- ナトリウムが多い野菜はゆでこぼす。 これで野菜 含ま
れるナトリウムを減らすことができる。
- 減塩食をおいしくするために、ニンニクやタマネギ、
レモンジュース、アムチュール、月桂樹の葉、酢、シ
ナモン、などを用いてもよい。
- 注意!カリウムを多く含む塩の代替品の使用は避ける。
カリウムを多く含む塩の代替品は CKD 患者においては
血中カリウム濃度を上昇させるため危険である。
- 軟水は飲まない。水を軟化する過程で、カルシウムが
ナトリウムに置換されるため。逆浸透精製水は、ナト
リウムを含むすべてのミネラル含有量が少ない。
- レストランで食事をする際は、ナトリウムの少ない食
べ物を選ぶ。
5. カリウム制限
なぜCKD患者に食事中のカリウム制限が推奨されるのでし
ょうか。
カリウムは人体にとって重要なミネラルです。カリウムは
体内において筋肉、神経の適切な機能、規則正しい心拍の
維持に必要です。
通常、体内におけるカリウムの濃度は、カリウムを含む食
べ物からの摂取と過剰なカリウムの尿中への排泄でバラ
ンスが取れています。慢性腎臓病患者では過剰なカリウム
の尿中排泄を認め、血中のカリウム濃度が高くなってしま
います(高カリウム血症の状態)。血液透析患者に比べて
腹膜透析患者の方が高カリウム血症のリスクは低いです。
両者の違いは、血液透析が断続的であるのに対して腹膜透
析は連続的であるという透析方法の違いによるものです。
高カリウムの状態は筋力の深刻な低下や不整脈を引き起
こし、危険です。カリウムが非常に高値のときは、予期せ
ぬ心停止がおき、突然死を引き起こします。高カリウムの
状態は、顕著な症状や徴候なしに生命を脅かします(それ
ゆえサイレントキラーとして知られています)。
高カリウムによる深刻な結果を避けるため、CKD 患者では
食事中のカリウム制限が推奨されています。
血中のカリウム濃度の正常域は?いくつを高値とみなす
のでしょうか?
- 正常域は3.5 mEq/l~5.0 mEq/l
- 血中カリウム濃度が5.0~6.0 mEq/lに達したとき、食
事内容の見直しが必要となる。
- 血中カリウム濃度が 6.0 mEq/l 以上では危険であり、
カリウムを下げるための積極的な介入が必要となる。
- 血中カリウム濃度が 7.0 mEq/l 以上では生命を脅かし
うる状態であり、緊急の治療が必要となる。
カリウム濃度別の食べられる食物分類
適正な血中カリウム濃度を維持するために、医師により食
事指導が行われます。カリウムの内容量によって、食べ物
は三つのグループに分けられます(カリウム含有量が多量、
中等量、少量)。
カリウムが多い食品・・・カリウム含有量が食物100g中、
200mg以上
カリウムが 中等量 の食品・・・ 同
100 - 200mg
カリウムが少ない食品・・・ 同
100mg以下
食品 - カリウムが多いもの
- 果物: 熟したバナナ、チェリー、ブドウ、キウイフル ーツ、レモン、熟したマンゴー、マスクメロン、桃、 アボガド、干し柿、さくらんぼ。
- 野菜: ナス、ブロッコリー、サトイモ、マッシュルー ム、ジャガイモ、ほうれん草、サツマイモ、山芋、パ セリ、切り干し大根、モロヘイヤ、かぼちゃ。
- ドライフルーツ: アーモンド、カシューナッツ、ナツ メヤシ、乾燥イチジク、レーズン、クルミ。
- 穀物: アマランサス、とうもろこし、玄米。
- 豆類: 豆大豆、きな粉、小豆、えんどう豆、納豆。
- 香辛料: クミン、コリアンダーの種、乾燥赤唐辛子、 コロハ種子。
- ノンベジタリアン料理: 魚(アンチョビ、さば、甲殻 類(エビ、ロブスター、カニ)、牛肉。
- 飲み物: 抹茶、こんぶ茶、玉露、豆乳、コーヒー、練 乳、チョコレート、新鮮なフルーツジュース、スープ、 ビール、ワイン、多くの炭酸飲料。
- その他: チョコレート、チョコレートケーキ、チョコ レートアイスクリーム、ポテトチップス、トマトソー ス。
食品-カリウムが中等量のもの
- 果物:
ライチ、甘いライム、ザクロ、スイカ。
- 野菜:
甜菜、バナナ、ゴーヤ、キャベツ、ニンジン、
セロリ、カリフラワー、サヤインゲン、オクラ、玉ね
ぎ、カボチャ、大根、トウモロコシ、ベニバナの葉、
トマト。
- 穀物:
大麦、汎用小麦粉、アズキモロコシ、小麦粉か
ら作られた麺類、
- ノンベジタリアン料理:
マグロ、アジ、スズキなど。
- 飲み物:
牛乳、カード(凝乳)
- その他:
黒コショウ, クローブ
食品-カリウムが少ないもの
- 果物:
アップル、 ブラックベリー、 チェリー、 グアバ、
オレンジ、熟したパパイヤ、ナシ、パイナップル、イ
チゴ。
- 野菜:
ヒョウタン、ソラマメ、トウガラシ、キュウリ、
ニンニク、レタス、グリーン ピース、生マンゴー、
- 穀物:
米、ラバ、粉小麦粉。
- 豆類:
グリーンピース
- ノンベジタリアン料理: 牛肉、ラム、ポーク、鶏、卵。
- 飲み物: 水牛乳、 コカコーラ、 ファンタ、 レモネード、 ライム果汁、ソーダ。
- その他: 乾燥生姜、蜂蜜、ミントの葉、マスタード、 ナツメグ、酢。
食品中のカリウムを減らすための実用的なコツ
- 一日に摂取する果物は1つにする、カリウム含有量が 少ないものがより好ましい。
- のコーヒーまたは紅茶は一日一杯とする。
- カリウムの量を減らす処理後にカリウムを含む野菜を 摂取すべき(下記参照)。
- ココナッツウォーター、 フルーツジュース、 高カリウム の食材(上記参照)を避ける。
- ほとんどすべての食材にはいくらかのカリウムが含ま れる。 そのため、 重要なことは可能な限り低カリウム含 有の食品を選ぶ。
- カリウム制限は保存期 CKD 患者だけでなく維持透析患 者にも必要である。
どのように野菜のカリウム含量を減らすのでしょうか?
- 皮をむき、小さくカットする。
- ぬるま湯で野菜を洗い、それらを大きな鍋に入れます。
- 鍋にお湯を入れて (水の量は野菜の量の 4~5 倍必
要) 、少なくとも 1 時間浸す。
- 野菜を 2 〜 3 時間浸した後に 3 回ぬるま湯で洗い
流してください。
- 次に水で野菜を茹でて、その水は捨てて下さい。
- 希望に応じて茹でた野菜を調理して下さい。
- このように野菜のカリウムの量を減らすことができ
ますがこの方法では完全ではありません。だから高カ
リウムを含む野菜を控え、多く食べ過ぎないことをお
勧めします。
- ビタミンは調理された野菜では失われてしまうので、
医師の指示に従ってビタミンのサプリメントを取るべ
きです。
ジャガイモからカリウムを取り出すための特別なコツ
- ジャガイモをさいの目に切ったり、スライスしたり、
すりおろして小さくすることが重要です。この方法に
よって水にさらされるジャガイモの表面を最大化しま
す。
- ジャガイモを浸す場合も茹でる場合も使用される水
の温度は重要です。
- ジャガイモを大量の水で浸たす又は茹でることが有用
です。
6.食事療法におけるリンの制限
なぜ CKD 患者は、低リン食を取る必要があるのでしょう
か?
- リンは骨の強度と健全さを維持するために不可欠なミ
ネラルである。通常、食品中の余分なリンは、尿中に
排泄され、それによって血中リンレベルが維持される。
- 血中のリンの正常値は4.0-5.5 mg/dlである。
- CKD 患者では食事で摂取した余分なリン尿中排泄障害
を呈するため、 血中濃度が上昇する。 このリンの上昇は、
骨からカルシウムを排出させ骨を脆弱化させる。
- リン濃度の増加は、かゆみ、筋肉や骨の脆弱性、骨の痛
み、 骨硬化や関節の痛みのような多くの問題を引き起こ
す可能性がある。骨硬化の結果、骨折し易くなる。
リンを多く含む食品の摂取は減量、または避けるべきでし
ょうか?
リンを多く含む食品は、次のとおりです。
- 牛乳や乳製品:バター、チーズ、チョコレート、コン
デンスミルク、アイスクリーム、ミルクセーキ。
- ドライフルーツ:カシューナッツ、アーモンド、ピス
タチオ、ドライココナッツ、クルミ。
- 冷たい飲み物:ダークコーラ、ファンタ、ビール。
- ニンジン、トウモロコシ、落花生、新鮮なエンドウ豆、
サツマイモ。
- 動物性タンパク質:肉、鶏肉、魚、卵。
7.ビタミンや食物繊維を多く含む食品の摂取
透析導入前のCKD患者は、食事摂取量の減量や過剰なカリ
ウムを取り除く特別な調理法や食欲不振により、ビタミン
補給不足に悩まされています。いくつかのビタミンのうち、
特に水溶性のビタミン B と C、葉酸などが透析中に失われ
ます。
これらのビタミンの摂取不足や喪失を補うためにCKD患者
は通常、水溶性ビタミンや微量元素の補充を必要とします。
食物繊維を多く含む食品の摂取はCKD患者において有益で
す。だから、患者はビタミンや食物繊維が豊富な、より新
鮮な野菜や果物を取ることを指導されます。
日々の食事の設定
CKD 患者のために毎日の食事摂取量と水分摂取量は、腎臓
専門医のアドバイスに従い栄養士によって計画されてい
ます。
食事計画の一般的な原則は以下のとおりです。
1.水分摂取:
水分摂取制限は医師のアドバイスに従って行
わなければならない。毎日の体重測定を継続する必要があ る。不適切な体重増加は水分摂取量の増加を示している。
2.炭水化物: 体は穀物や豆類で十分なカロリーを確実に摂 取するため、糖尿病ではない場合は、患者は砂糖やグルコ ースを含む食品を摂取することが出来る。
3.タンパク質: 牛乳、穀物、豆類、卵、鶏肉はタンパク質 源である。透析導入されていないCKD患者は、食事中の蛋 白質を減量することを指導される。1日あたり0.8 g/kgの タンパク質の摂取を指導される。透析が開始されると、患 者 (特に腹膜透析の患者) は、 高タンパク食が必要となる。 肉、鶏肉、魚などのタンパク質、カリウムとリンが多く含 まれている動物性タンパク質を食べることは避けるべき である。すべての動物性タンパク質は、CKD 患者に有害に なりうる。
4.脂肪: 食品中の脂肪の量は減量しなければならないが、 食品からのバターやギーの摂取を切り詰めることはリス クとなる。一般に、大豆油、落花生油は身体に有用である が、摂取量制限は守る必要がある。
5.塩分: ほとんどの患者は、 低塩食を取るよう指導される。 テーブルに塩をおいてはいけない。ベーキングパウダーで 調理した食品を摂取してはいけない。もし摂取する場合、 限られた量の使用か確認しなさい。代用塩はカリウムを多く含むため使用は避けなさい。
6.穀物: 米製品は摂取可能である。味の単調さを避けるた めには小麦、米、ポハ、サゴ、セモリナ、コーンフレーク などの穀物をローテーションし摂取可能である。大麦は、 トウジンビエ、およびトウモロコシも摂取可能であるが、 少量にすべきである。
7.豆類: 味の変化によって食物が口に合うように、さまざ まな種類のダール(インドの豆料理)を、適切な量でロー テーションし摂取するべきである。ダールは液体であり、 ダールを食べた際の水分摂取量も計算しないといけない。 可能な場合、水分量を多くするのではなく、ダールを濃く する方が好ましい。 ダールの量は、医師の指示に従って 行われなければならない。
8.野菜: カリウムをあまり含まない野菜であれば自由に摂 取できる。しかし、カリウムを多く含む野菜は摂取する前 に、カリウムを除去する処理をしなければならない。味を 良くするためにレモンジュースを加えてもよい。
9.フルーツ: りんご、パパイヤ、ベリーのような低カリウ ム含有量のフルーツは一日一回程度であれば摂取可能で ある。透析日には、好きな果物を取ることができる。フル ーツジュースとココナッツ水は避けなければならない。
10.牛乳および乳製品:
300〜350ml のミルクやキール、ア
イスクリーム、豆腐、maththa などの乳製品は摂取可能で
ある。余分な水分摂取を避けるために、量は制限する。
11.冷たい飲み物:
ペプシ、ファンタ、フルーティは避け
なければならない。フルーツジュースやココナッツ水を摂
取してはいけない。
12.ドライフルーツ:
ドライフルーツ、落花生、ゴマ、生
ココナッツ、乾燥ココナッツは避けなければならない。