エリスロポエチン(Erythropoietin :EPO):
エリスロポエ
チンは腎臓から産出されるホルモンであり、骨髄での赤血
球形成を促進する作用を持つ。もし腎障害が発生した場合
は、十分なエリスロポエチンを産生する事が出来ないので、
赤血球産生機能が低下し、貧血を引き起こす。エリスロポ
エチンは腎機能障害により発生した貧血の治療を行うた
めの注射薬として使用される。
カルシウム:
人体で最も豊富なミネラルであり、強い骨や
歯の発育や維持のためには不可欠である。牛乳とヨーグル
トやチーズのような乳製品は、カルシウムの豊富な天然資
源である。
急性腎不全(急性腎障害):
腎機能の急速もしくは突然の
低下が見られる状態。腎障害の中でもこの種類の障害は、
一時的で一般的には可逆的であることが多い。
拒絶:身体が、移植された臓器が自己ではないと認識し、
移植臓器を破壊しようとする過程のこと。
グラフト(人工血管):
長期間透析を行うための一つの方
法である。腕の動脈と静脈をつなぐ、人工的に作られた柔
らかい管をグラフトと言う。透析を治療中は、透析針をグ
ラフト内に挿入している。
クレアチニンと尿素:
これらはタンパク質の分解物もしく
は老廃物である。これらの物質は腎臓で除去される。血清
クレアチニンの一般的な基準は0.8〜1.3 mg/dL、尿素では
8〜20 mg/dL である。腎不全では、血液中の尿素とクレア
チニンの数値は上昇する。
経尿道的前立腺切除術Trans-urethral Resection og the
Prostate(TURP) :
良性前立腺肥大症 benign prostatic
hyperplasia(BPH)の泌尿器科的治療法の中で、最も一般的
で標準的なものである。手術療法としては最小限の侵襲で
済み、膀胱鏡を尿道から挿入して、尿路を塞いでいる前立
腺を除去する。
血圧:
心臓が血液を送り出す際に、循環血液が血管壁に対
して及ぼす圧力のことである。血圧は重要なバイタルサイ
ンの一つであり、その計測には2 つの数値からなる。1 つ
目の数値は、心臓が収縮した際に及ばされる最大の圧力を
測定した収縮期血圧を示している。2 つ目の数値は、心臓
が拡張した時、すなわち心臓の収縮間の測定値である拡張
期血圧を示している。
血液透析:
腎不全を治療するための最もよく使われている
手段である。血液透析治療中は、透析機とダイアライザー
(人工腎臓)により血液は浄化されている。
献腎移植(死体腎移植):
脳死患者の健全な腎臓を慢性腎不
全の患者に移植すること。
高カリウム血症:
正常の血清カリウム値は3.5~5.0 mEq/L
である。高カリウム血症は血液中に含まれるカリウムが増
えていることを示す。高カリウム血症は一般的に腎不全で
認められ、生命を脅かす可能性もあり、緊急治療が必要に
なることがある。
交換:
交換とは腹膜透析の1サイクルの事を言い、3つの
ステージで構成される。はじめのステージで透析液を腹腔
内に入れる、次に透析液を腹腔内に残し、数時間貯留して
いる間に余分な水分を除去し、尿毒素を血液中から透析液
中に移行させる(dwell とも言われる)。最後のステージで
は透析液を体外に排出する。
高血圧:
血圧が高いことを示す概念。
持続携行式腹膜透析(Continuous ambulatory peritoneal
dialysis (CAPD)):
CAPDは、機械を使用せずに家庭で個人
が行うことができる透析形式である。この種類の透析では、
たとえば1日24時間、週7 回の間ずっと定期的な間隔で
腹膜透析液を交換する。
持続性周期的腹膜透析(Continuous cycling peritoneal
dialysis (CCPD)):
CCPD または自動腹膜透析(APD)は、自
動化された循環装置を使って自宅で毎日行われる持続的
な腹膜透析の形式である。CCPDでは、患者が夜に寝ている
間に、機械が液の交換を行う。この過程で、機械が自動的
に腹膜透析液を満たしたり、腹腔から腹膜透析液を排液す
る。
自動腹膜透析(Automated peritoneal dialysis (APD)):
持続性周期的腹膜透析(CCPD)の項を参照。
静脈性尿路造影(Intravenous urogram(IVU)):
静脈内に
ヨード造影剤を注入した後に、X 線で尿路系を撮影する検
査である。この検査により、腎機能と尿路系構造に関して
の情報を得ることができる。
人工腎:
ダイアライザー(dialyzer)の項を参照。
腎生検:
顕微鏡を用いた病気の診断を行うために、穿刺針
を用いて腎組織を採取する処置である。
腎臓専門医:
腎疾患を専門とする内科医。
腎不全:
腎機能の低下により、毒素や不純物を血液から十
分に濾過できない状態。血液中の尿素やクレアチニンの上
昇を特徴とする。
推定糸球体濾過量(eGFR):
推定糸球体濾過量は血清クレア
チニン値や他の情報から計算されて出される数値である。
推定糸球体濾過量を推測する事で、どの程度腎臓が働いて
いるかがわかり、正常値は 90以上である。推定糸球体濾
過量はCKDの進行をモニターし、ステージ分類を行う上で
度々使用される。
先行的腎移植:
腎移植は透析療法をしばらく施行した後に
行われることが一般的である。維持透析導入前に腎移植を
行うことを先行的腎移植という。
前立腺肥大症(Benign prostatic hypertrophy (BPH)):
男
性が年齢を重ねるに連れて、前立腺が拡大することはよく
起こることである。前立腺肥大症は、高齢男性に起こる非
癌性の前立腺の拡大であり、それにより尿道を圧迫し、尿
の流れを遮断し、排尿の問題を引き起こす。
ダイアライザー:
腎臓の代わりをする人工物の事を指す。
ダイアライザーによる透析を行うことで、血液を濾過し、
さらに余分な水分を除去する事ができる。
体外衝撃波結石破砕治療(Extracorporeal shock wave
lithotripsy:ESWL):
体外衝撃波結石破砕治療は、砕石器
から出る高密度の衝撃波を尿路結石に当てる方法である。
石は小さい破片となり、尿道を通過しやすくなる。体外衝
撃波結石破砕治療は腎結石の治療に効果的であり、広く使
われている。
タンパク質:
食事の三大要素の一つであり、身体組織を作
り、補修し、維持するのに関与する。豆類、卵、動物性食
材は、タンパク質の豊富な供給源である。
タンパク尿:
尿中のタンパク質が異常に高値である状態。
超音波:
痛みを伴わない診断的検査で、高周波の音波を利
用し、体内の臓器や構造物の画像を作成する。超音波検査
は単純かつ便利で安全な検査であり、腎臓の大きさ、尿路
の閉塞、嚢胞や結石や腫瘍などの存在について有用な情報
をもたらしてくれる。
電解質:
体内の重要な機能を担っている、血液中のナトリ
ウム・カリウム・カルシウムなど多くのミネラル成分の事
を指し、電解質と呼ぶ。腎臓は血液中の電解質を常に一定
に保っているので、腎機能障害を呈する患者では血液検査
で電解質の状態を確認する。
動静脈瘻(Arteriovenous fistula (AV Fistula)):
動脈と
静脈を外科的に吻合することを意味する。一般的には前腕
に作られる。動静脈瘻では、多量の血液が高い血圧を伴っ
て静脈に流れ込み、静脈の拡張をもたらす。静脈が大きく
拡張することによって、血液透析に必要である頻回でかつ
簡便な穿刺が可能になる。長い期間の血液透析のためには、
動静脈瘻の作成は最も広く行われていて最良の血管アク
セスの方法である。
透析:
透析は腎臓が悪くなった患者の体内から代謝老廃物
や余分な水分を取り除くための人工的な手段である。
透析用カテーテル:
2つの管腔を持つ長くて柔らかい中空
のチューブである。血液は一つの管腔から引き出され、浄
化のために血液回路へと入り、もう一方の管腔から人体に
戻される。 ダブルルーメンカテーテル (透析用カテーテル)
の挿入は、緊急透析および一時的透析のために最も広く行
われていて効果的な方法である。
糖尿病性腎症(糖尿病性腎障害):
長期に糖尿病を罹患する
と腎臓内の微小血管で障害が引き起こされる。その障害に
より、まず最初に尿タンパクの漏出が起こる。そして高血
圧を引き起こして腎臓が腫大し、腎臓に進行性の障害を与
える。その障害により最終的には重度の腎不全(末期腎不
全)が起こる。腎障害を引き起こした糖尿病の状態は、糖
尿病性腎症と言われている。糖尿病性腎症は慢性腎不全の
最も多くを占める原因となっており、新規発症の慢性腎不
全の内の 40−45%を占める。
Dwell time:
腹膜透析をしている間に、腹腔内に腹膜透析
液が入っている時間の事を Dwell time という。腹膜を通
して血液浄化が行われている時間の事である。
ドライウェイト:
透析によって体の余分な水分を除去した
後の、その患者の体重のこと。
ナトリウム:
体内のミネラルの一種で、血圧および血液量
を調節する。食事中のナトリウムの、最も一般的な形態は
塩化ナトリウムで、食卓塩そのものである。
ネフローゼ症候群:
子供により多く認められる腎臓の病気
であり、尿への蛋白排泄(3.5g/日以上)、血清総蛋白低
値、コレステロール高値、浮腫を特徴とする。
脳死:
脳死とは、あらゆる内科的治療および外科的治療で
も回復しない重症で不可逆的な脳損傷の状態である。脳死
では、呼吸や血液循環は人工的に維持されている。
嚢胞腎(Polycystic kidney disease(PKD)):
嚢胞腎は最
も一般的な遺伝性腎疾患であり、腎臓での巨大な嚢胞形成
を特徴とする。慢性腎不全に至る原因のなかで4番目に多
い。
排尿時膀胱尿道造影:
下部尿路(膀胱・尿道)の解剖学的構
造を調べるのに使われる手法であり、カテーテルを挿入し
て X 線で写る造影剤を注入する。患者に排尿してもらい、
X 線で撮影する。
半透膜:
特定の溶質および液体のみ選択的に通すが、その
他は通さない膜のこと。膜とは、薄い天然の組織または人
工素材のことである。
泌尿器科医:
腎病変を専門に扱う外科医。
微量アルブミン尿:
少量ではあるが、尿中に異常量のアル
ブミンが排泄されていることを示す。アルブミン尿の存在
は、糖尿病による腎疾患の発症早期を示唆する。
貧血:
血液中でヘモグロビンが低下した健康状態のことで
ある。貧血によって、衰弱、疲労感、労作時の息切れが起
こる。貧血は慢性腎不全ではよく起こり、腎臓でのエリス
ロポエチンの産生低下によって起こる。
腹膜炎:
腹腔内での感染である。腹膜炎は腹膜透析の一般
的な合併症であり、治療しなければ、生命を脅かす可能性
がある。
腹膜透析:
腎不全に対する有効な治療方法である。腹膜透
析による浄化の過程で、まず特殊なカテーテルを用いて透
析液を腹腔内へ注入する。この透析液により、血液から不
純物や過剰な体液が除去される。透析液は、時間をおいて
腹腔内から除去され、廃棄される。
ペア腎移植:
多くの末期腎不全患者は、健康で意思のある
潜在的な腎臓ドナーを有するが、血液型やクロスマッチ不
適合の問題がある。ペア腎臓提供とは、二組の不適合ドナ
ー・レシピエントペアの間で、生体ドナーの腎臓をそれぞ
れがペアではないレシピエントへ提供することで、二組の
適合ペアをつくる手法である。
ヘモグロビン:
酸素を肺から全身組織へ運び、二酸化炭素
を組織から肺へ戻す赤血球内の蛋白分子である
膀胱鏡検査:
医師が細くて光が付いている膀胱鏡と呼ばれ
る器具を用いて、膀胱や尿道の中を見る診察法。
膀胱尿管逆流症Vesicoureteral reflux(VUR):
膀胱から尿
管、時には腎臓まで尿が逆流する異常状態のことである。
VURは、解剖学的・機能的異常によるもので、片側・両側
のいずれも起こりうる。VURは尿路感染の主要な原因であ
り、小児の高血圧や腎不全の原因となる。
末期腎不全(Endstage kidney disease :
ESKDもしくは
Endstage renal disease ESRD):進行した慢性腎臓病(CKD
ステージ5)は末期腎不全と呼ばれる。このステージとな
ると、ほとんど腎臓として機能していない状態となってい
る。末期腎不全となった患者は、通常の生活を過ごすため
に、透析や腎移植などの治療を行う必要がある。
慢性腎臓病(Chronic kidney disease (CKD)):
数ヶ月また
は数年にわたって徐々に進行し不可逆性の腎機能の障害
は慢性腎臓病と呼ばれている。この不治の病気では、腎機
能は緩徐にかつ連続的に低下する。長い年月を経て、腎臓
はほとんど完全に機能を停止した段階にまで低下する。こ
の進行性で生命を脅かす病の段階は、末期腎不全(End
Stage Kidney Disease(ESKD))と呼ばれている。
免疫抑制薬:
体内の免疫システムを抑制し、移植臓器に対
する拒絶反応から身を守る薬剤である。
利尿薬:
尿量を増やし、尿という形で体内からの水分排泄
を促す薬剤のことをいう。利尿薬のことを別名「water